第271号 2024年7月26日号合同巡回展 戦傷病者の労苦を伝える大分展 ーレポートー

 しょうけい館では毎年、昭和館と平和祈念展示資料館とともに合同で巡回展を開催しており、今年の合同巡回展は、6月19日(水)~30日(日)まで大分県大分市の「大分県立美術館」で開催しました。
 本展では、戦傷病者とそのご家族等が戦中・戦後に体験した労苦について、2つの視点から紹介しました。1つ目の視点は、「パラリンピックと戦傷病者」です。1964年東京パラリンピックに関する内容を中心に、戦傷病者として大会に出場し、メダルを獲得した青野繁夫さんの活躍を実物資料と映像資料を用いて紹介するとともに、東京パラリンピック開催に尽力し、その後の日本社会におけるパラスポーツの発展に力を注いだ大分県出身の中村裕博士(社会福祉法人太陽の家創設者)の功績を、社会福祉法人太陽の家協力のもとパネルを中心に紹介しました。
 2つ目の視点は、「戦傷病者と義肢」です。腕や足を切断した戦傷病者は、失った身体の一部を補うために手や足の代わりとなる義肢をつけて生活を送りました。戦傷病者が仕事で使用していた義手と歩くために無くてはならなかった義足を展示し、義手・義足とともに歩んできた戦傷病者の人生を紹介しました。

 また、昭和館では戦中・戦後の暮らしについて大分県の写真資料や実物資料を中心に紹介し、平和祈念展示資料館では戦後のシベリアで強制労働を強いられた抑留者に関する資料や、彼らが描いた絵画などを展示しました。3館での合同巡回展の様子は、地元メディアに報道され、多くの方にご来場いただきました。



しょうけい館の展示をご覧になった来場者の感想

・戦争による傷を抱え、その後を歩む人たちの苦しさと強い気持ちを感じた。
・戦傷病者の暮らしやパラリンピックのことを知れたことに加えて、中村裕博士の志とより具体的な歴史が分かり、勉強になりました。
・中村裕博士のことを多く知れただけでなく、大分県がパラスポーツに精力的に力を入れていることが知れたので地元の良い所を改めて実感
 することができた。
・義手、義足の実物を見たのは初めてでした。腕や足を失うということは、これまでの暮らしには戻れないため戦傷病者の苦労がリアルに感
 じた。




会場の様子(パラリンピックと戦傷病者)


会場の様子(戦傷病者を支えた義肢)




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