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令和3年度春の企画展 残された言葉や声をたずねて

1. 戦地での思い Episode-2 Image

爆撃による負傷で左腕を切断

水木しげるさん(武良茂)は、昭和18(1943)年、ニューブリテン島(ラバウル)にて敵機の爆撃により左腕を受傷しました。当時の痛みを次のように綴っています。「世の中にこんな痛いことがあるだろうか。」ケガの容態は重篤であり、出血多量で意識も朦朧としていました。翌日には切断手術を受けましたが、後にマラリアにも罹ってしまい、生死の境をさまよう体験をしました。


戦後のくらし

昭和21(1946)年に復員します。戦後の大不況により、食べるために働く生活が始まりました。さまざまな職に携わり、紙芝居作家、貸本作家、そして漫画家へと転身していきましたが、なかなかお金にならず、苦しい生活が続きました。


戦争体験と漫画

そんな中、昭和40(1965)年に『テレビくん』で第6回講談社児童漫画賞を受賞し、一躍有名になりました。その後は『ゲゲゲの鬼太郎』『悪魔くん』など多くの作品を生み出してきました。また、戦争に対する思いは強く、自身の体験を題材にした漫画なども多数生み出し、数々の賞を受賞してきました。


出展資料:『水木しげるのんのん人生』

幼少期から晩年までの出来事をイラストを交えてまとめた書籍。特に戦争体験は詳細に記されており、受傷した時の傷の痛みを次のように紹介している。 「やられた!」と思っているうちに痛みはだんだんひどくなり、やがてモノが言えないくらいになってきた。世の中にこんな痛いことってあるのだろうか、というほどだ。