竹刻「宣誓」

 この作品には、1964年(昭和39)、第2回パラリンピック東京大会に参加し、選手代表として宣誓した青野繁夫(故人)さんの宣誓文が刻まれています。世界各国から参加した障害者が「重度の障害を克服し精神及び身体を錬磨」して「限りない前進を期して正々堂々と斗う」ことが誓われています。
東京大会には22ヵ国、375名の選手が参加し、日本からは53名、このうち20名は箱根療養所からの参加でした。箱根療養所の参加選手は、この大会で銀10、銅4のメダルを獲得するなど輝かしい成績を残しています。
選手宣誓をした青野さんもフェンシングと水泳に参加し、みごと銀メダルを2個獲得しました。『東京パラリンピック大会 報告書』には、「今までの病床生活を思い、心から喜びをかくし様がなかった」という青野さんの言葉が記されています。その一方、(財)日本傷痍軍人会発行の『日傷月刊』には「重度傷痍軍人の生活は生やさしいものではない」こと、「大地に二本の足をかまえなくとも立派に足のかわりの車椅子がある」こと、覚悟と誇りをもって生きていくことを東京大会に参加した感想として述べています。
この作品は、箱根療養所内で箱根細工を製作していた佐藤辰夫さん(故人)から青野さんがいだだいたものです。青野さんの妻はづさんからのご好意で当館にご寄贈いただきました。

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2014年