夏の企画展「「戦盲」失明戦傷病者がたどった戦中・戦後」も、残すところ1ヶ月弱の会期となりました。今回は、二つの関連イベントを紹介致します。


(1)講演会

 8月6日(土)14時より、当館1階シアターにて、企画展講演会を開催致しました。講師は写経道場「空無我堂」堂主の村上空山(くうさん)氏。「日本一の失明傷痍軍人(原田末一)ここにあり」の演題のもと、①人生は出会いの歴史である、②生命(体と心)、③日本一の失明傷痍軍人(原田末一)ここにあり、④ありがとうで今日を生きる、の順に進められました。
 終了時の質疑応答においては、複数の参加者より種々感想が述べられ、講演内容への関心の深さがうかがえました。


(2)展示解説

 7月16日と8月13日、ともに土曜の14時より30分余り、担当学芸員による展示解説が実施されました。取材で訪れたマスコミの方々、大学生や中学生といった様々な参加者を集め、各回とも盛況となりました。
 なお、9月10日(土)の展示解説が最終回となります。参加費は無料。事前申し込みも不要ですので、この機会にご参加ください。

夏の企画展「戦盲」に新資料加わる


戦傷失明杖

 このたび、厚生省が戦争中に失明戦傷病者に支給していた戦傷失明杖を当館で初めて展示することになりました。この杖を所蔵していたのは銀座にある杖の老舗、株式会社タカゲン。髙橋輝雄社長によれば、髙橋商店(現:タカゲン)が傷兵保護院から依頼を受けて杖を製作していたが、その後、店は空襲で焼失。しかし一本だけ自宅に残されていたものを、今回の企画展の会期中、展示できることになりました。
 これまで当館では、陸海軍省が支給した白杖を複数の方よりご寄贈頂きました。今回の杖は、それより前の、昭和13年から厚生省の傷兵保護院が支給していた戦傷失明杖(陸軍省は昭和14年、海軍省は昭和18年から支給)です。現存する杖として確認されている唯一のもので、大変貴重な杖です。この機会に、ぜひご覧ください。

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2011年